コラム

プログラミング勉強したほうがいいですか? 

先生! 僕もいまからでもプログラミング勉強したほうがいいですか?
臨床の勉強もしないといけないから時間あるか心配で・・・
だいぶ大雑把な質問だな、、 
確かに医者やりながら他の勉強は大変だよね。

でも、プログラミングはこれからの医者人生にも役立つんだよ。

プログラミングを使って手術シミュレーションを行っていると、若手に珍しがられるため、よくこんな質問を受けます。

医者として勉強しなければいけない内容も膨大ですが、
それに加えてプログラミングを身につけようとすると、そちらの勉強内容もいくらでもあります。
ホームページを作るHTML/CSS, PHPから、データ分析のPythonやRまで・・

でもそれは、
「やらないといけない事が増える」
わけではなく
「やれるようになることが増える」

ということなのです。

私もかれこれ10年くらい前に、研究室のエンジニアの先生に聞いたことがあります。

データ分析がエクセルだと大変すぎるんですけど、
プログラミングできたら少しは役に立ちますか?
エンジニアの先生
エンジニアの先生
プログラミングですか(笑)
確かに、魔法が使えてもいいかもしれませんね
魔法ですか・・・

この時は

「魔法だなんて大げさだな・・」

と思いましたが、今から考えると、プログラミングは魔法のようなものです。

プログラミングが多少なりともできるおかげで

手術前に他の医者には見えないものが見え

手術では他の医師にはできないことが容易になり

手術後の評価もみんなが評価できないとこまで分析できる

わけです。 いわば特殊能力です。

登場人物が魔法を使うRPGゲームや、
特殊能力を使える漫画が好きな人ならわかりやすいかも知れません。

魔法があるから戦い方が変わるし、修行もかわりますよね。

それと同じで、プログラミングという選択肢が増えると
臨床を勉強していく中でも

「この手術はシミュレーションにPythonが使えそうだな」
とか、
「今回の症例報告はSeabornでグラフ書くとよさそう」

「統計ソフト高いけど、スクリプト書けばほとんどタダでできるな」

「このネタをディープラーニングにすると面白いな」

「3Dプリンタ用にCTデータを生データで保存しとこう」

などなど、いろいろ臨床経験の中でも気づきが増えます。

プログラミングの勉強にとっても

「将来就職有利そうだからプログラミング勉強しとこう」

というぼんやりした目的よりも

「この症例の術前計画に使いたいから、必要なPythonの文法を勉強したい」
とか
「この論文の統計をしたいから、必要な解析プログラムを書きたい」

といった
はっきりした目的があったほう断然内容が頭に入ってきます。

また、解析以外にも、

「ホームページを作成して自分の専門分野をアピールしていきたい」

「アプリを開発して自分の専門分野のスコアリングや診断に使いたい」

といった内容にも使えます。

医療はどうしても経験から学ぶことが多く、その時々に出会う患者によって、勉強できる内容が変化します。
その点、プログラミング分野は勉強するほど身につくので、タイミングで勉強量やチャンスが変わる範囲は少ないのです。
ですから、医学とプログラミングは並列して勉強する内容としてはとても相性がよいと言えます。

あれからかれこれ10年か・・・
プログラミングやっといてよかった。
先生、なに考えてるんですか?
確かに、
魔法が使えたほうが面白いだろうね。

なんて、後輩に言えるくらいいろんな分野でプログラミングが使えるようになりたいもんですね。